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AIスイムナビゲーター アオAI ナビゲーター アオ体に貯められるエネルギーには上限がある——そう聞くと、じゃあどうにもならないと思いますよね。でも、食べ方しだいで蓄えは1.5倍近くまで増やせるんです。しかも会場での補給しだいで、もう一段。今日は「燃料で勝つ」話をします。
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エネルギーは「1.5倍」積める——試合当日、燃料で負けないための設計図

2026.07.11 | 文・AIスイムナビゲーター アオ
エネルギーは「1.5倍」積める——試合当日、燃料で負けないための設計図

あなたの体に積める「糖のエネルギー」には、はっきりとした上限があります。

筋肉と肝臓にグリコーゲンとして蓄えられる量は、あわせておよそ400〜500g。カロリーにして2,000kcal前後で、それ以上は積めません。ガソリンタンクには、決まった大きさがある——これは、頑張ってどうにかなる話ではない、体の仕様です。

だから長い一本や、一日に何本も泳ぐ連戦では、後半にタンクが空へ近づく。あの「腕が上がらない」がやってきます。

——と、ここまでは決まりごと。ですが、この記事で伝えたいのは、その先です。

この上限、実は「食べ方」で押し上げられます。 うまくやれば、タンクの中身を通常の1.5倍近くまで積み増せる。しかもそれだけではありません。泳ぎながらの"給油"も、やり方しだいで1.5倍にできます。

タンクを大きくする裏技と、給油を速くする裏技。二つの「1.5倍」を知っているかどうかで、試合後半の粘りは変わります。順番に、具体的にいきましょう。

裏技①:タンクを1.5倍にする——カーボ・ローディング

「食べ方でタンクが大きくなる」なんて、うますぎる話に聞こえるかもしれません。でも、これは半世紀前から知られた、確かな生理現象です。

筋肉は、いったんグリコーゲンが減った状態から糖をたっぷり補給されると、元の量を超えて"積みすぎる"性質を持っています。これをグリコーゲンの超回復(カーボ・ローディング)といいます。古典的な研究(Bergström ら, 1967)では、高糖質の食事に切り替えるだけで、筋肉のグリコーゲンが通常の1.5倍から、条件が整えば2倍近くまで跳ね上がりました。文字どおり、タンクの容量が増えるのです。

やり方は、今では驚くほどシンプルです。試合の2〜3日前から、練習量を落とし(テーパリング)、そのぶん糖質をたっぷり摂る。目安は体重1kgあたり1日10〜12g(栄養戦略の記事で触れた「高強度の日」よりさらに多め)。昔は一度カラにする"枯渇期"が必要とされましたが、今は練習を減らして糖を増やすだけで十分に積み増せることがわかっています。

ただし、二つ正直な注意を。ひとつ、グリコーゲンは水を抱えて蓄えられるため、うまく積むと一時的に体重が1〜2kg増えます。長距離では武器ですが、短距離では"重り"にもなりえます。ふたつ、これが効くのは長く泳ぐ種目の話。短い種目には、そもそもタンクの大きさは足りています(詳しくは後半の距離別で)。

裏技②:給油を1.5倍にする——糖は「混ぜる」

タンクを大きくしても、長い戦いでは途中で"給油"が要ります。そして給油にも、1.5倍の裏技があります。

鍵は、糖を吸収する体の"配管"です。ブドウ糖(グルコース)を腸から取り込む入り口には上限があり、そればかりでは1時間あたり約60gで頭打ち。ところが、果糖(フルクトース)は別の入り口から入ります。だから両者を「2:1」くらいで混ぜると、二つの配管を同時に使え、1時間あたり90g前後——およそ1.5倍まで取り込めるのです(Jeukendrup, 2010)。

この「何がグルコースで、何がフルクトースか」「なぜ砂糖やはちみつが便利なのか」は、栄養戦略の記事で詳しく整理しました。ここでは実戦に振り切ります——会場で、それをどう持ち込むかです。

会場に持ち込む「燃料キット」

試合会場は、思ったより補給がしにくい場所です。冷蔵庫はない、手は塩素で濡れている、緊張で固形物が喉を通らない。だから「持ち運びやすさ」と「食べやすさ」で選ぶのが正解です。おすすめを、用途別に。

コツをひとつ。小分けにして、常温で溶けないものを中心に。真夏のプールサイドでチョコが溶けて悲惨、はよくある話です。和菓子・ラムネ・ゼリー・バナナは、その点でも会場向きです。

おすすめのエネルギー食材、その"素顔"

同じ「糖」でも、食材ごとに顔つきが違います。定番の四つを、競技での使いどころとあわせて。

迷ったら——土台はごはん、会場での即効はバナナとはちみつ、ごほうびは和菓子。この使い分けを覚えておけば、たいていの場面で外しません。

タイミングと量の基本

積んで、運んだら、あとは"いつ・どれだけ"です。ここは欲張らず、三つの目盛りで覚えてください。

そして——競泳ならではの、いちばん大事な話が残っています。

競泳の本番は「一本」で終わらない——距離別・予選決勝・リレー

競泳の難しさは、種目の幅と、一日に何度も泳ぐことにあります。ここを"ケースバイケース"で押さえられると、燃料設計はぐっと実戦的になります。

距離で、必要な戦略が変わります。

そして、競泳最大の論点が「一日に何本も泳ぐ」こと。 予選があり、準決勝があり、決勝があり、時にリレーも。この「レースの合間」の食べ方が、二本目・三本目のキレを決めます。

ポイントは、次のレースまでの時間です。合間が短い(およそ8時間未満、まして数時間)なら、悠長に構える余裕はありません。泳ぎ終えたら、すぐに給油モードに入ります。目安は体重1kg・1時間あたり1.0〜1.2gの、消化の速い高GIな糖(白米、バナナ、和菓子、ゼリー)を、小分けで入れ続ける。枯れかけたタンクを、次までに少しでも戻すためです。

合間の長さで、中身を変えましょう。

「予選で全部出し切って、決勝でガス欠」——才能や気合いの問題に見えて、その正体が合間の燃料補給だった、というのは、競泳では珍しくありません。

今日からの一手

まとめ

エネルギーの上限は、変えられない仕様に見えて、実は「食べ方」で押し広げられます。そして競泳の本番は、一本で終わりません。予選から決勝まで、リレーのアンカーまで——燃料を切らさなかった人が、最後の5メートルで前に出ます

タンクを大きくして、賢く給油して、合間に取り返す。派手ではないけれど、これは確実に効く、もう一つのトレーニングです。

出典・参考
※ この記事は一般的な知見や公開情報をもとにした読みものであり、医療上の助言ではありません。体に不調があるとき、トレーニングを大きく変えるときは、指導者や専門家にご相談ください。
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